「金鶏」 〜 公演開始延期

明日5月23日から開始予定だったリヨン・オペラ座のリムスキー=コルサコフの歌劇「金鶏」は、一般公開となる公演開始が今月29日(土)に延期される見込みです。

そもそも、同公演は20日から公演が開始されるはずだったのですが、新型コロナウィルス感染症による夜間外出禁止令に伴う劇場閉鎖などの理由で遅れていました。しかし理由はこれだけではありません。

フランスでは昨年から続くロックダウンや夜間外出禁止令のために失職した一部の芸術関係の労働者が、今年3月はじめのパリ・オデオン座を皮切りに、国内各地の劇場を占拠して仏政府を相手に抗議活動を続けている状態です。
ここリヨン・オペラ座でも、こうした失業者らの置かれている立場に理解を示し3月半ばから劇場の一部を提供していました。しかし、先日19日から始まった外出制限の段階的解除開始に伴い劇場封鎖も解かれたので、劇場側としては公演開始に向けて場所を開放してもらわなければなりません。ところが彼らには場所を明け渡す気がなく、明け渡すなら代わりの場所の提供が条件だとまで言い出す有様。
特に問題なのは、はじめのうちは本当に仕事がなくなり困っていた失業者らだけだったはずなのが、いつのまにかその中に様々な不法占拠者が紛れ込んでしまっていたという点です。この点に関してはセキュリティの甘さ以外の何物でもないのですが、いつまでも平行線を続けているわけには行かないので、お互い事を穏便に解決するため法の判断を仰ぐことになりました。

その法廷審議は来週27日に行われることが決まったようですが、判決が出るまでは不測の事態に備えてオペラ座側は、セキュリティ上の懸念から公演開始延期を決めたというわけです。

これと並行して、昨日、占拠者と労働組合との間で話し合いがあったそうです。その際に占拠者らはオペラ座の場所を明け渡すことに理解を示し、あまり迷惑にならない場所へ移ることにしたように決めたらしいです。
尤も、それが今すぐなのか、それとも判決まで待つのかは不明なので、いずれにしても公演がいつから一般向けに始まるのかは、劇場側からの最終決定待ちということになります。

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