真夜中の電話

午前3時半過ぎ、電話が鳴った。
こんな時間に電話が鳴る時は、余り良い知らせではない事が多い。
寝ぼけていても、一瞬、緊張する。
受話器を上げると、
「もしもし…」
と、母親の声がした。
緊張。祈った。そして…
「あのさー、ワープロが全然使えなくなってるんだけど…」
我が耳を疑った。ワープロがなに?
心なしか母親の声が怒ってる。
「日本語入力が出来なくなってるんだけど、どういう事?」
急に使う用事ができたのに、使えなくて苛立っている。
そう言えば、夏休みに一度だけ借りた時に、使い辛くてローマ字入力に変えた事を思い出した。そして、使い終った時に元に戻すのを忘れていたんだ。明らかに僕の不注意だ。
運悪く、取扱説明書もどこかに行っちゃっていて、自分で調べて戻す事も出来ないらしい。
僕も自分自身で使いこなした機種ならともかく、使ったのが1度きりで、しかも1ヶ月以上も前の事とあっては、どこをどういじったのかすら記憶が危うい…。
そのまま埒が明かず、ガチャッと電話が切れた。
後味が悪い。一方的に切れる電話は嫌いだ。

PCのスイッチを入れ、冴えない頭でネットで調べることにした。
知っているのはNECの文豪シリーズだと言うことだけ。取り敢えず、NECのサイトに行けば、何か手掛かりが掴めると思った。
結果は余り芳しくなかった。もう生産を終了してから数年が経っている上に、PCや周辺機器の様に取扱説明書をオン・ラインで閲覧したり、ダウンロード出来ない。唯一、Q&Aに「ローマ字入力にするにはどうすればいい?」という項目を見付けた。これなら逆操作なわけだから使えそうだ。ただ、この操作が、母親の機種に対応しているかどうかは分からない。サイトには何も記されていなかった。

一縷の望みを胸に、再度電話。
NECのサイトで見た操作を試してもらう。
キーを押しながらとか、連続してとか、コンビネーション・キーの押し方について何も記されていなかったから、なかなか「入力設定画面」を呼び出す事が出来ず、ひょっとしたらこのやり方ではダメかも知れないと諦めかけた。
何度か試すうちに、「入力設定画面」が現れた。そして、その中の目的である「入力方式」に辿り着いた(フー、もう少しだ!)。
ところが、そこから先に進めない。どうして?とお互いに焦る。
何度か試してもらったけど、再び「入力設定画面」すら出すことが出来ず、挙句の果てに、
「もう、いいよ」
と、ガチャッと電話が切れてしまった。
自分の不注意から生じた出来事だと分かってはいるものの、何とも後味の悪い結末。
変に頭が冴えてしばらく寝付けなかった…。

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