「マノン・レスコー」

Manon Lescautリヨン・オペラ座の今シーズン第3作目、プッチーニの歌劇「マノン・レスコー」の初日がストの影響で予定より1日遅れで22日(金)に開けましたが、今日はその2回目の公演でした。
『マノン・レスコー』はフランス18世紀のベネディクト会修道院の大修道院長であり作家のアベ・プレヴォー Abbé Prévost の全7巻からなる『ある貴族の回想と冒険』 “Mémoires et Aventures d’un homme de qualité qui s’est retiré du monde” の最終巻である『騎士デ・グリューとマノン・レスコーの物語』(1731年) “Histoire du chevalier Des Grieux et de Manon Lescaut” が原作です。また、「男達を破滅させる女」 “Femme fatale” を描いた最初の文学作品と言われています。
この小説を基にオペラ化されたものとしては、マスネの「マノン」(1884年初演)、そしてこのプッチーニの「マノン・レスコー」(1893年初演)が有名ですが、マスネ作が主にヒロインの性格に焦点を合わせて書かれているのに対し、プッチーニ作の方は原作の主要場面を取り上げて物語性を重視して書かれています。この作品は、プッチーニの3作目のオペラにして初の出世作です。
僕は始めマノンが修道院へ入らなければならないのは貧困の所為なのだろうと思っていたんですけど、その理由が彼女の「享楽的な性格」の所為だと知ると、ちょっぴりビビりました。だって、原作では17歳のデ・グリューが初めて彼女に出会った時、彼が「私より年下で両親の命令で修道女になるためにアミアンに来た」と言う箇所があるんです。つまり、10代半ばの少女ですよ(プッチーニ作では、兄レスコーがジェロンテに彼女が18歳と教える箇所が出てきます)。
こんな年端もいかない男女が主人公の物語ですけど、当然のことながらオペラで歌うのは立派な体格と声のオジサンとオバサンなわけで、ある意味では詐欺ですよね(笑)。でも、その辺はオペラが虚構の世界のであると言う事で、目をつぶるしかないのかも知れません。それよりも純粋にプッチーニの音楽に酔いしれるのが一番かと…(^^)

Manon Lescaut左は初演の際に作られた記念の絵葉書のコピーです。上の絵葉書同様、我が家にもあります!
マスネ作では割愛され、プッチーニ作の第4幕に加えられた「植民地ルイジアナ篇」でのエピソードの場面ですね。
尚、プッチーニ作ではマノンが息絶えたところで終わっていますが、原作でデ・グリューは、この数ヵ月後、探しに来た友人ティベルジュと共に故国フランスに帰ります。尤も、原作では「作者がデ・グリューから聞いた話」と言う事になっているので、生きてフランスに帰らなければ話が成り立ちませんけどね。

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