ヴェルディ:歌劇「一日だけの王様」

「一日だけの王様」~第二幕七重唱より
パルマ王立劇場で行われたヴェルディの歌劇「一日だけの王様」 “Un giorno di regno” を ARTE Live Web で観ました。
「一日だけの王様」はヴェルディの2番目のオペラで、「オベルト」成功に気を良くした彼が喜劇に挑戦したもの。
しかし、「オベルト」初演の翌年1840年9月にミラノ・スカラ座での初演は大失敗に終わり、初日以後の公演も全て中止となりました。この失敗はヴェルディにとって喜劇に対するトラウマとなり、これ以後、彼の最後のオペラとなる「ファルスタッフ」まで、喜劇を一曲も書いていません。
この「一日だけの王様」ですが、今でこそヴェルディ作品の1つとして受け入れる事も出来るのでしょうけど、作風がロッシーニやドニゼッティの作品に酷似しています。ミラノの聴衆に受け入れられなかったのは、これも要因の一つ。また、フェリーチェ・ロマーノの台本が古臭くて、この頃のイタリアの風潮に合わなかったとも言われています。
しかしながら、1845年にヴェネツィアでタイトルを原作である「偽のスタニスラオ」(アレクサンドル・デュヴァルの戯曲)と改名して上演した際には、それなりの成功を収めたそうですから何が功を奏するか分かりません。
因みに、今日この作品が「一日だけの王様、あるいは偽のスタニスラオ」 “Un giorno di regno, ossia il finto Stanislao” というタイトルが付いているのはこのためです。

指揮ドナート・レンツェッティ、歌手陣は、グイド・ロコンソーロ(騎士ベルフィオーレ)、アンドレア・ポルタ(ケルバール男爵)、アンナ・カテリーナ・アントナッチ(ポッジョ侯爵夫人)、アレッサンドラ・マリアネッリ(ジュリエッタ)、イヴァン・マグリ(エドアルド)他、パルマ王立劇場管&合唱団。
そして、このプロダクションで演出・舞台・衣装を一手に手掛けるピエール=ルイジ・ピッツィは、ソリストとしても一緒に仕事をしたことがありますが、昨今の台本を無視した演出家の多いオペラ界に於いて、数少ない正統派の演出家の一人です。もう御年77歳ですが、カーテン・コールに出て来たお元気そうな姿を見て嬉しく思いました。

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