オーディションの結果

記事に書こうか書くまいか凄く迷いました。はっきり言ってあんまりカッコのいい事じゃないと思うんです。でも、応援してくださった皆様の為に敢えて報告します。
オーディションは昨日29日の朝10時半からありました。前夜は本番があって帰宅したのは午前0時過ぎ。途中、舞台変換にトラブルがあっていつもより終演が遅かったんです。
僕は前夜の疲れもまだ抜けない7時半に起きました。娘がいる時は幼稚園に行く為、この時間に起きます。9時を回らないと発声練習も出来ないので、兎に角、身体を起こさなければなりません。それも無理矢理。
更に昨日はTCL(リヨン交通網)のストがあって、10~15時半までの間混雑が予想されました。はっきり言って最悪の条件!
劇場に着いたのはストを避ける為、9時50分頃です。もう既に来て発声練習をしている方もいました。そして会う方皆口々に「今日だけは避けて欲しかった。どうして本番の翌朝なんかに、オーディションを…」とぼやいてました。特にソプラノとテノールは音が高いので、早朝は大変なのです。

今回は現代曲なので、他の皆さんの中には音がちゃんと取れてない方もいらっしゃいましたけど、僕は我ながら完璧に歌えたと思います。現代曲だからどうのと言う偏見や難易度はまるで気になりません。僕が一番最初にプロとして仕事を始めた時も新作でしたし、今迄にも結構歌っています。勿論、一番好きなのはイタリア・オペラですけど…。
審査員のお一人の偉い方が「プッチーニじゃないんだから、もっとリズム出して!」と仰いました。僕は一瞬あっけに取られましたね。だってそんな何拍子だとか何拍だとかモロ分かるように歌うのって…仮にもベル・カントを習得した者としては、とても馬鹿げたご意見に聞こえました。だって、歌はレガートが命です。そんな拍子が分かるような歌い方は恥ずかしい行為です。ま、一応ご希望にお応えして歌いましたけど…

結果はなぜか駄目でしたね。脇で聴いていた方々も皆不思議がってました。僕にもさっぱり分からないですけど、全然音も取れてない声も出てない方が通りました。
こんな悪条件下でしたから、他の声種には来なかった方も沢山いましたが、劇場側はその来なかった方々に期待していらした様です。そして、近々その方々をお聴きになるそうです。
全く馬鹿らしい話です。それならそうと最初に誰々を聴きたいと指名してしまえば、こんな息が詰まるような思いをして毎日を過ごさなくても良かったのに…。次のオーディションもやっぱり同じですかねぇ、いい加減もう馬鹿らしくてやってられない感じです…。

余談ですが、某歌劇場の総監督が新聞のインタビューで、こんな事を言ってらっしゃいました。
「私はプッチーニが嫌いなんだよ、お客が入るから仕方なく上演するんだけどね…」

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