昨夜のリヨン・オペラ座は、「カプリッチョ」の6回目の公演でしたが、午後に予定だったコンサートのリハーサルがなくなり、少し時間に余裕が出来たので、雑用を片付けた後CDを聴いたりしながら過ごしました。
その中の1枚、フェデリコ・リッチの歌劇「エディンバラの牢獄」(ハイライト)は、先日偶然見つけた大変珍しい録音です。
このCDが僕の目に留まった理由の1つは、指揮のガブリエレ・ベッリーニが、昔、家内がオランダでプッチーニの歌劇「蝶々夫人」を歌った時の指揮者だったからです。当時、デン・ハーグでの公演は僕も観に行きましたが、ちょっぴり懐かしくなってしまったのでした(^^)
1838年に兄ルイジの指揮によりトリエステで初演された同作は、現在確認されている彼の20作のオペラの中で一番の出世作だったと言われており、彼が亡くなるまでウィーン、プラハ、リスボン、ニース、ブエノスアイレス等の歌劇場で繰り返し上演されたそうですが、その後は日の目を見る事はありませんでした。僕も実際にこうして耳にするのは勿論この録音が初めてです。
中ではソプラノのアリア “Dormi, dormi bel bambino” や、バリトンのアリア “Sulla poppa del mio Brich” が有名なようですが、オペラ全体の作風が、同作より数年前に初演されたドニゼッティの歌劇「ランメルモールのルチア」に似ていなくもないですね(奇しくも「エディンバラの牢獄」の原作もウォルター・スコットによる)。
主な配役は、ヌッチャ・フォチレ(ジョヴァンナ)、エリザベッタ・スカーノ(イダ)、ニコラ・ロッシ・ジョルダーノ(ジョルジョ)、レベッカ・フォン・リピンスキ(ファニー)他。フィルハーモニア管の音がとても美しいです。昔何度か共演した事もありますが、僕の好きなオーケストラの1つです。
全曲録音ではなくハイライトというところが少々残念な気がしますが、ロッシーニ、ベッリーニ、ドニゼッティのベル・カント・オペラからヴェルディへと繋がる時代に位置する彼の音楽観を知る上でも貴重な1枚と言えるでしょう。