ヴェルディのオペラの台本作家としても知られるアリゴ・ボーイトの歌劇『メフィストーフェレ』は、ゲーテの詩劇「ファウスト」を題材にしたオペラの1つ。
自称ワグネリアンのボーイトの『メフィストーフェレ』は、オーケストレーション、声楽部共とても重厚でスケールが大きい。それ故、舞台での実現が結構難しい。
その中で、このサン・フランシスコ・オペラの演奏は群を抜いている。ロバート・カーセンの演出は言うに及ばず、ソリスト、合唱、オーケストラも良い。指揮者のマウリツィオ・アレーナは、僕も何度か仕事した事があるけれど、イタリア・オペラの伝統を良く知る、今となってはとても希少な存在だ。
エピローグも終盤、ファウストが天上からの福音の声に心から “Arrestati, sei bello!” (止まれ、お前は美しい!)と叫ぶ辺りから幕が下りるまで、音楽が頂点に達する。いつも僕は見終わると、心なしか気分が晴々として、勇気が沸いてくるような気さえして来る。
今日はシャブリエの初日。ちょっと気分をハイにしなくては…。