イギリス人テノール歌手のマーク・パドモアが歌うロベルト・シューマン「リーダークライス」、フランツ・パウル・ラハナー「歌人の旅」(抜粋)、ロベルト・シューマン「詩人の恋」(収録順)を聴く機会がありました(2010年6月リリース)。近年、フォルテピアノ奏者として評価が高まっている南アフリカ出身のクリスティアン・ベズイデンホウトによる伴奏も大変興味深かったです。この録音に於いて彼が使用している楽器は、オランダ・エンスヘデのエドウィン・ベンク Edwin Beunk (一部では Benuk という誤表記有)のコレクションで、1837年パリ・エラール Erard 社製のフォルテピアノです。
因みにエンスヘデは、家内が1993年のシーズンにオランダ各地でプッチーニの歌劇「蝶々夫人」を歌ったオペラ・フォールム Opera Forum(現:Nederlandse Reisopera)というオペラ団体の本拠地があった町です。
パドモアは1961年3月生まれですから僕より丁度3歳年上。僕がまだニース歌劇場にいた頃、グルックの歌劇「アルセステ」で端役を歌った時に共演した事もある人ですが、あの頃に比べると声に円熟さが増してとても聴き易くなったような気がしました。
また、シューベルトの親友であり、音楽的にもシューベルトやベートーヴェンの影響を強く受けたラハナーが、ハイネの詩に曲を付けた「歌人の旅」もとても興味深いです。このパドモアの録音では5曲を抜粋していますが、全16曲の内の何曲かは「詩人の恋」と同じ詩なので、その事を知らずに聴くと一瞬「えっ?」と戸惑ってしまうこと必至です(笑)。
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