サッカー・ワールドカップ、日本残念でしたね。でも、良い試合でした。お疲れ様!
さて、今日の午後は、「ナイチンゲール」のオケ付き舞台稽古、しかも衣装付きだったので予定より少し早い楽屋入りでした。また前半、客席には400人余の小学生が見学に来ていました。
今夜はその他の作品のリハーサルなのでオフ!明日は朝からなので、ゆっくり休養といきたいところです(^^)
今回のプロダクションで「ナイチンゲール」は、休憩後の第2部に上演され、それに先立つ第1部には同じくストラヴィンスキーの小品が上演されますが、その殆どがオペラやバレエ等の舞台作品ではないところが興味深いです。
先日書いた「4つのロシア農民の歌」は女声合唱ですが、その他、「ラグタイム」(1918年)、「クラリネットのための3つの小品」(1918年)、「バルモントの2つの詩」(1954年改訂版)、「プリバウトキ」(「戯れ歌」1914年)、「猫の子守唄」(1915年)、「きつね」(1916年)が演奏されます。
「ラグタイム」は11の楽器からなる管弦楽曲、「クラリネットのための3つの小品」はクラリネット・ソロによる曲なので分類上は室内楽、続く3タイトルは歌曲集で、ストラヴィンスキー自身が「男声によって歌われるのに適している」と言っていた「プリバウトキ」は、実際には女声によって歌われることの方が多く、今回もメゾ・ソプラノによって歌われます。コントラルトと3本のクラリネットのために書かれた「猫の子守唄」は、全4曲からなる4分足らずの小品ですが、1919年ウィーンでの初演に際してウェーベルンが絶賛したという曲です。
そして、最後の「きつね」は、元々はバレエ音楽として書かれたものですが(1922年パリ・オペラ座初演)、分類上はブルレスケ(仏語ではブルレスク “bourlesque”、日本ではしばしばブーレスク)という「ユーモアと辛辣さを兼ね備えた、剽軽でおどけた性格の楽曲」(Wikipediaより)に属します。この作品のストーリーも、「雄鶏を狙うきつねを猫とヤギが妨害する」という滑稽なロシア民話が元になっていて、それぞれを4人の男声ソリストが歌います。ストラヴィンスキーはこの曲がバレエ音楽と言う性質からなのか、作曲時には4人のソリストをオーケストラ・ピットに配するように指定していますが、今公演では舞台上にいます。
写真は、エクサン・プロヴァンス音楽祭の会場の1つである、ジュ・ドゥ・ポム劇場 “Théâtre du Jeu de Paume” というこの町で最も古い劇場の1つです。ルイ14世が、「ジュ・ドゥ・ポム」の練習に使ったという球技場を18世紀になって劇場に作り変えたそうです。ジュ・ドゥ・ポムは、手のひら(ポム)やグローブでボールを打ち合うことからその名が付いたようで、8世紀にフランスで発生した「ラ・スール」 “La Soule” がその原型と言われ、フランスの王侯貴族の間で流行した球技です。また、英仏の百年戦争中、アジャンクールの戦いで囚われの身となったオルレアン公と共にイギリスにこの球技が伝わり、後にテニスが誕生したとも言われています。
この写真は音楽祭のサイトから拝借したものですが、この18世紀イタリア様式の馬蹄形劇場の大きさと言い形と言い、写真を見た途端、僕がまだイタリアにいた頃に歌ったことがある、その昔、ベニアミーノ・ジーリも歌ったと言うピサ近郊の小さな町の劇場を思い出しました。
今年の音楽祭では、主に国際音楽アカデミー受講生、修了生のコンサートやリサイタル等が催されます。