Addio a Giulietta…

Addio a Giulietta...今日は往年の大メゾ・ソプラノ、ジュリエッタ・シミオナートの100歳の誕生日の筈でしたが、それを目前に控えた丁度1週間前、5月5日の明け方、ローマの自宅で亡くなりました。
写真は伊紙コリエーレ・デルラ・セーラの記事(ミラノ・スカラ座のサイトに掲載された訃報はこちら → “Addio a Giulietta Simionato”)。
ジュリエッタ・シミオナートは、マリア・カラスやレナータ・テバルディと共にイタリア・オペラの黄金時代を築き上げたことでも知られる偉大なメゾ・ゾプラノ歌手。1928年にオペラ・デビュー後、1935年にフィレンツェ音楽祭、翌1936年にミラノ・スカラ座デビュー。1939年には正式にミラノ・スカラ座と契約を結び、その後、引退する1966年まで長年に亘って主役級の役を数多く歌いました。また、その間もエディンバラ音楽祭、メトロポリタン歌劇場、コヴェント・ガーデン王立歌劇場、ウィーン国立歌劇場、シカゴ・リリク・オペラ等の世界の一流歌劇場に招かれました。
日本にはNHKの招聘したイタリア歌劇団の一員として1956~1963年に来日し、「アイーダ」のアムネリス、「フィガロの結婚」のケルビーノ、「カルメン」のタイトル・ロール、「カヴァレリア・ルスティカーナ」のサントゥッツァ、「イル・トロヴァトーレ」のアズチェーナ、「セビリアの理髪師」のロジーナを歌い、日本のオペラ・ファンにも深い感銘を与えました。僕はいずれも録画、録音でしか知りませんが、とりわけサントゥッツァはとても印象に残っています。僕の中では、あのサントゥッツァを越える歌唱・演技に未だ巡り会っていません。

今日リヨン・オペラ座は、今週末に公演するリムスキー・コルサコフの「モーツァルトとサリエリ」のオケ合わせでした。この作品についてはまた改めて書きますが、曲の終盤にモーツァルトの「レクイエム」第1曲目冒頭の部分が出てきます。「レクイエム」は日本語に訳すと「鎮魂歌」。通常は亡くなった誰かの為に書かれる事が多いですよね。例えば、ドニゼッティはベッリーニの為、ヴェルディはマンツォーニの為にと言う風に。ところが、モーツァルトの場合は、何者か名前も名乗らなかったような人物から依頼を受け、しかも、作曲途中で亡くなってしまいました。一体誰の為のレクイエムだったのか…。

主よ、彼らに永遠の安息を与え給え…

日本だったら今日は初七日。ほんの一節でしたが、今日はジュリエッタ・シミオナートのことを思いながら歌いました。

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