オペラ座の「鼻」の公演が昨日無事に終わりました。昨日、一昨日は2日続けての本番で、しかも昼間に他の演目のリハーサルもあったりしたので、昨日はちょっとしんどかったです(><
今日のオペラ座のリハーサルは出番がないのでお休み。そのお陰で何と!約1ヶ月振りのウィーク・エンドの休暇が実現しました~\(^o^)/
閑話休題。先日、とても珍しい録音を見つけました。ドニゼッティの歌劇「ピグマリオーネ」は彼が19歳の時に書いた最初のオペラですが、彼が生存中には上演される事がなかった上に長年その存在が忘れ去られていました。
初演は20世紀に入ってから、1960年10月にドニゼッティの研究家としても知られるイタリア人指揮者アルマンド・ガットが自らタクトを取り、タイトル・ロールをドーロ・アントニオーリ(写真)、ガラテア役にオリアーナ・サントゥニオーネという配役で、ドニゼッティの生地ベルガモのテアトロ・ドニゼッティで行われました。その歴史的な公演を収めたのがこのCDなのです。
テノールのドーロ・アントニオーリはあまりよく知らなかったのでネットで色々調べてみると、僕がロッシーニの歌劇「セビリアの理髪師」でアルマヴィーヴァ公爵を歌った時に、ドン・バジリオを歌ったカルロ・ザルドが1980年代前半に彼とも共演していた事を知り、思いも寄らない意外なところで接点が見つかり少々驚きました。
「ピグマリオーネ」はギリシャ神話の中に出てくるキプロス島の王ピュグマリオンの伝説によるもので、自ら彫刻したガラテア像に恋をし、ついにはガラテアに命が与えられ最後は目出度く結ばれるという内容です。その殆どがピグマリオーネ(テノール)の独白による約40分の短いオペラですが、ドニゼッティ19歳の処女作にして、「ランメルモールのルチア」の狂乱の場を思わせる旋律も既に耳にする事が出来、生涯78作ものオペラを生み出した彼の才能を彷彿とさせます。
ガットとはまだ僕が日本にいた頃、藤原歌劇団公演で数回共演した事がありますが、僕がこの「ピグマリオーネ」を1993年にミラノで歌った時に使用したスコアは、やはりガットの監修によるものでした。でも、この初演の経緯は知っていたものの、録音の存在など当時は知る由もないですからね。あれから18年余り経った今、自分以外の演奏を聴くのは初めてなので不思議な感じがしました。そして当時の事を思い出してとても懐かしかったです。