ヴェルディ:歌劇「仮面舞踏会」

仮面舞踏会
ヴェルディの歌劇「仮面舞踏会」は、彼のオペラ作品の中で一番好きな部類に入る作品です。
学生の頃の一時期、色んな録音を聴き比べ何度も何度も繰り返し聴いていました。また、1986年2月に行われた藤原歌劇団の公演時には合唱部のメンバーとして出演しました(^^)
さて、今回ここで紹介するのは、1961年にボローニャ市立歌劇場に於いて収録されたライブ録音で、主な配役は、カルロ・ベルゴンツィ(リッカルド)、レイラ・ゲンジェル(アメリア)、マリオ・ザナージ(レナート)、アドリアーナ・ラッツァリーニ(ウルリカ)、ドーラ・ガッタ(オスカル)他、指揮はオリヴィエロ・デ・ファブリティースです。
因みに、ベルゴンツィ、ザナージ、ファブリティースの3人は、1967年のNHKイタリア歌劇団公演の際に「仮面舞踏会」に出演してました。
ベルゴンツィといえば、先日7月25日に90歳で亡くなりましたね。1947年に23歳でロッシーニの歌劇「セビリアの理髪師」のフィガロ役を歌いデビュー!つまり始めはバリトンだったのですが、その後テノールに転向し、1951年にジョルダーノの歌劇「アンドレア・シェニエ」のタイトルロールを歌って再デビューしました。2001年に引退するまで54年間という驚異的に長いキャリアでした。
僕も彼の声を生で聴いた事がありますけど、その時、彼は既に60歳を超えていました。それでも感動しましたが、この録音の頃はまだ37歳ですから、テノールに転向してから10年経った頃。既にスカラ座やフェニーチェ、メト、シカゴ、ウィーン国立歌劇場等の一流歌劇場で名声を博していましたが、絶頂期と呼ぶにはまだ早い感がありますね。確かに上手いとは思うんですけど、危なっかしい所もそこかしこにありました。その絶頂期が恐らくイタリア歌劇団で来日した頃だったのではないでしょうか。「仮面舞踏会」はもとより、ドニゼッティの歌劇「ランメルムーアのルチア」(エドガルド役)も素晴らしかったですね。
ゲンジェルはトルコ出身で1950年代から70年代にかけて活躍したソプラノ歌手。「ゲンチャー」とか「ゲンサー」、「ジェンチェル」、「ゲンジェル」等々、様々な読み方・呼び方をしますけど、トルコ語の発音に一番近いのは「ゲンジェル」かなと思います。
個人的にこの人の声を嫌いじゃないですし、作品によってはとても好きです。特にベルカント唱法のテクニックの1つであるフィーロ・ディ・ヴォーチェ “filo di voce” (直訳すると“糸のような細い声”)が、物凄く綺麗なんですよ。この録音でも十二分に堪能する事が出来ました。
ザナージもとても良いですね。こういう声質のバリトンが好きです。しかし何れにしても、デ・ファブリティースのサポートなしではこういう素晴らしい演奏は有り得ないわけで、指揮者がいかに重要かを再認識した録音でした。

カテゴリー: 音楽 タグ: , パーマリンク