久し振りにブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団による、ドヴォルザークの交響曲第9番作品95『新世界より』(1959年録音)を聴きました。
『新世界より』はドヴォルザークが3年間の在米中に書いた作品であり、彼の後期作品中でも重要な作品の1つです。“新世界”アメリカから故郷ボヘミアへの想いを込めたメッセージとしてこの副題が付けられていますね。
ユダヤ系ドイツ人としてベルリンに生まれたワルターは、ナチス政権の拡大と共に故国ドイツを追われ、オーストリア⇒スイス⇒フランス⇒アメリカへと逃れて行きました。勿論、戦後にはヨーロッパ楽壇にも復帰していますが、主な活動の拠点はアメリカです。
この曲は1942年7月にロサンゼルスで行われたコンサートのライヴ録音も現存しますが、これはワルター最晩年に録音された物の1つで、1958年に心臓発作で倒れて暫く休養した後の録音になります(最後の録音は1961年3月のモーツァルト・オペラ序曲集)。
1959年の録音はこの作品に於ける彼の集大成とでも言うべき完璧な演奏で、演奏時間の違いもさることながら1942年のエネルギッシュな演奏もそれはそれで良いのだけれど、それとはまるで違う世界観を表現しています。
因みに、コロンビア響はCBSレコードが彼の演奏を録音する為に、ロスアンジェルス付近の音楽家を集めて特別に結成されたオーケストラと言うのですから驚きです。でも、そのお陰で今日でも多くの演奏を聴く事が出来ます。
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