パリ滞在5日目の今日は、リハーサルがなく一日オフ。しかも、午前中の雨が上がり午後からはとても良い天気になったので、リュクサンブール美術館で開催中の「フィリッポ&フィリッピーノ・リッピ展」を観に行って来ました。
現在開催中なのは、イタリア・ルネッサンス期の画家父子、フィリッポ・リッピ(1406頃~69)とフィリッピーノ・リッピ(1457頃~1504)を中心とした作品展で、プラート市立美術館所蔵の絵画や彫刻が主体。
フィリッポ・リッピ(父)は初期ルネサンスの重要な画家で、その優雅なタッチは弟子ボッティチェッリへと受け継がれています。反面、私生活(?)の方はと言うと、彼は修道僧でありながら、もうすぐ50歳になろうと言う頃、プラートの聖カテリーナ修道院で「身につけた聖帯を使徒トマスに授ける聖母」を制作中に23歳の修道女ルクレツィア・ブーティに惚れてしまい、挙句果て二人の間に子供(フィリッピーノ)まで出来てしまいます。その後、ルクレツィアは自分の侵した罪の意識から一旦修道院に戻ろうとするのですが、再びフィリッポの元へ引き戻されてしまいます(その後、娘・アレッサンドラ誕生)。この出来事は当時キリスト教会で大スキャンダルを巻き起こしリッピは修道院の出入りを禁止されました。しかし、芸術家の援助をしてやまないフィレンツェのメディチ家のコジモ・イル・ヴェッキオの取り計らいにより教皇ピオ二世から正式に夫婦になっても良いと言う許可を得ます。ところが、フィリッポ自身にはそんな気はまるでなく、一生涯結婚はしなかったと言う事です。
今回この「身につけた聖帯を使徒トマスに授ける聖母」も一緒に展示されていますが、この中に描かれている聖マルゲリータはルクレツィア自身を描いたものではないかと言われています。また、リッピの描くマリアは全てルクレツィアがモデルだとも言われています。
息子のフィリッピーノも父親同様画家になりますが、母親思いのとても良い息子だったようです。
始めは兄弟子であるボッティチェリやダ・ヴィンチの影響を受けた作風が多かったものの、後に幻想的かつ自然な甘美性や多様な曲線を用いて描く独自の様式を確立し、ルネサンス後期の表現形態の1つであるマニエリスムの先駆者的役割を担いました。
リッピ父子の代表作は、このプラート市立美術館の他に、ウフィツィ美術館や聖マリア・ノヴェラ教会等、フィレンツェに多くみられます。
フィレンツェって何度も行ってる割には、全然美術館とかは観に行ってないんですよね。あ~ 久し振りにフィレンツェに行きたくなってきちゃったなぁ~♪