キャンディ-ド

3月初めから数回に亘ってリヨンのサル・モリエール Salle Molière 他で催された、レナード・バーンスタインの「キャンディード」の公演が昨日やっと終わりました。
「キャンディード」は、バーンスタインが1956年に書いたミュージカルですが、彼自身「靴の中の石ころ」と形容した様に、発表されてから幾度も改訂を試みたそうで、1990年に他界するまでの間ずっと気に掛けていた曲だそうです。

今回のこの公演は、原作者でありリヨンとも縁の深いヴォルテールの没後230年を記念して、また、小説「カンディード、或いは楽天主義説」の発表から来年が250年になるのを祝うと言う主旨で、本来のミュージカルと言う形ではなく、オペラ・コミーク風にアレンジすると言う初の試みで催されました(僕が手伝わせて頂いたのは、コーラス・パートと端役です)。

公演のポスター公演に当たっては改訂版の録音も合わせて聴き比べてみましたが、バーンスタインが指揮をしジェリー・ハドレーがタイトル・ロールを歌っている1989年12月の「キャンディード」のロンドン公演の様子が収められたDVDはとても印象的ですね。その一部はYoutubeでも観る事が出来ますが、その映像を見ているとバーンスタインがその数ヶ月後に亡くなってしまったのが信じられないほどです。
また、アングロ・サクソン系レパートリーの第一人者と呼ばれ、グラミー賞まで受賞したハドレーが、去年猟銃自殺を図った後に死んでしまった事を思うと、同業者として他人事では済ませられない感情を抱いてしまいます。病気、経済破綻、離婚、また、仕事上でも50歳を過ぎ転換期を迎えていた事等、その原因となる要素は幾つかありますが、自殺に至る本当の理由は分かりません。でも、個人的に「キャンディード=ハドレー」と言うイメージが強い所為でしょうか、どうしても納得のいかない最後に思えて仕方ないのです。第2幕フィナーレの歌詞の様に、「何はともあれ、先ず私達は畑を耕さなければなりません」(注釈)と考えて欲しかったです。

注釈:フランスでは引用句として会話にもよく登場する有名な文ですが、「すぐに解決が出来ない難題は後回しにして、先ず自分の周りで改善出来る事から手を付けよう」、または、「社会の発展の為、より良くなる為に力を注ごう」と言う風に解釈されます。

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