「運命の力」 〜 音楽稽古&衣装合わせ

「運命の力」〜衣装合わせ
年末年始の休暇を終え、今日からリヨン・オペラ座の仕事が始まりました。
今月は昨年エクサン・プロヴァンス国際音楽祭で行ったプッチーニの歌劇「蝶々夫人」の公演がありますが、今週は主に3月公演のヴェルディの歌劇「運命の力」の音楽稽古です。加えて今日は同プロダクションの衣装合わせもありました。

「運命の力」は何度か演奏会形式や抜粋などをコンサートで歌ったことがありますが、演出付きの舞台公演のは今回が初めてです。

ヴェルディはその生涯に、処女作「オベルト、サン・ボニファーチョ伯爵」(通称「オベルト」)から最後の作品「ファルスタッフ」まで全28作のオペラを作曲しましたが、「運命の力」はヴェルディ中後期に当たり24作目になります。
序曲は1869年の改訂時に補作されたもので、コンサートでもよく単曲で演奏されることが多いですね。また、やレオノーラ(ソプラノ)やドン・アルヴァーロ(テノール)のアリアが有名ですが、レオノーラと修道士の合唱による「天使の中の聖処女」 “La Vergine degli angeli” もまたヴェルディらしいとても素晴らしい曲のひとつです。
しかしながら、オペラ全体を通して暗く陰惨なイメージが強く、華やかさに欠け、人間描写がイマイチでストーリーが難解! 加えて主役級となるキャラクターが多いため良い、優れた歌手を揃えるのが難しい作品でもあります。

これらの理由が重なるためでしょうか、音楽的には素晴らしいものの、イタリアでは“不運を招く”として「呪われたオペラ」と忌み嫌われ、他のヴェルディのオペラに比べると上演される機会にあまり恵まれない作品なのです。

果たしてリヨンのキャストを聴衆はどうジャッジするでしょう。そして演出はどんなものになるのかとても楽しみです。

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