今夜は16日(火)にピアノ伴奏&演奏会形式で公演があるサン・サーンスの歌劇「サムソンとダリラ」のGPでした。
この作品は僕にとってフランス・デビューだった曲であり、最初に歌ったフランス・オペラでした。また、サムソン役は師であるピエール・ミランダ・フェッラーロの得意とする役の1つでもありました。
今回の公演では、ニースのオペラ座公演でも歌った第1のペリシテ人役を歌わせて頂きますが、フランス・デビューが同劇場に於いて1993年11月の事だったので、本拠地をイタリアからフランスに移してから、かれこれもう17年も経っている事に我ながら驚きます。
「サムソンとダリラ」はサン・サーンスの13作あるオペラの中で最も有名、唯一今日でも演奏されるオペラですが、本国フランスでの上演よりも国外、とりわけニューヨーク・メトロポリタン歌劇場に於ける上演回数の方が遥かに上回っているようです。
ストーリーは、旧約聖書「士師記」の第13章から第16章で語られるサムソンの物語に基づいています。また、サン・サーンスは始めこの曲をオラトリオとして構想していたらしく、その所為かオペラとしてはト書きが非常に少ない作品でもあります。しかし、その分演出面では自由度が高いかと言うと決してそんな事はなく、聖書の物語に沿って作られるので余り奇抜な演出は見かけた事がありません。ニースの公演時の演出で、僕は顔に仮面を付けていたのですが、僕の役は「ヘブライ人達が攻めてくるかもしれないという胸騒ぎを覚え、ダゴンの大神官の下へ急いで駆けつける」という演技だったので、階段を駆け下りる際に足許がよく見えなくてちょっと怖かったのを覚えています。今回は演奏会形式なのでそういう心配はありませんが、スコアを捲りながら当時自分で書き込んだ内容を読み返すと、色々な事が懐かしく思い出されます。
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