ショスタコーヴィチの「鼻」は、昨日のH.P.に続いて今日の午後はG.P.が行われました。昨日と今日は客席にはお客さんや報道関係者等が入っていて、本番さながらのリハーサルでした。
昨日、今年のエクサン・プロヴァンス国際音楽祭は、オスカー・ビアンキの新作「サンクス・トゥ・マイ・アイズ」(ジュ・ドゥ・ポム劇場)で幕を開けました。続いて今夜は、ヴェルディの歌劇「椿姫」(アルシェヴェシェ劇場)の初日で、ナタリー・ドゥセーがヒロインのヴィオレッタ役を歌うというので話題になっています。因みに、6月28日に行われた公開リハーサルでは、ダブル・キャストで同役を演ずるイリナ・ルングが歌っていました。個人的にはルイ・ラングレー指揮するロンドン交響楽団の演奏にも興味を惹かれますが、もう殆ど完売のようなのでラジオ放送(7月9日)とテレビ放映(7月16日)をチェックするしかないようですね。
そして明日は、コリン・デーヴィス指揮ロンドン交響楽団の演奏で、モーツァルトの歌劇「皇帝ティトの慈悲」(アルシェヴェシェ劇場)が初日を迎えます。エクサン・プロヴァンスと言えば、モーツァルトのオペラ無しには始まりませんからね。タイトル・ロールはグレゴリー・クンデです。
さて、昨夜は “medici.tv” でパリのサン・ドニ大聖堂からジョン・ネルソン指揮、パリ室内管弦楽団によるバッハの「マタイ受難曲」のライヴ中継があるというのでとても楽しみにしていました。
アメリカ出身のジョン・ネルソンは、リヨンのオペラ座にも度々来た事があり、僕が一番最初にオペラ座と仕事をした(合唱)、ヴェルディの歌劇「ドン・カルロス」(仏語版)も彼の指揮によるものでした。ロマン派やバロック音楽の解釈に定評がある彼が、近年は宗教曲、オラトリオを積極的に演奏する機会が増えているというので興味があったのですが、如何せん、ネット回線が余り早くない事に加えて、よく切断してしまうので、昨夜は第1部の途中で断念してしまいました。それでも演奏は、昨今の傾向とは裏腹に速過ぎず軽過ぎずで共感出来る部分が多々ありました。
僕が「マタイ受難曲」を最初に歌ったのは、まだ藝大の学生だった頃で東京二期会の公演でした。当時、二期会は訳詞上演が普通だったので、当然、日本語による上演でしたが、更に、コンサートではなくてオペラ仕立てで演出付きの舞台だったので全曲暗譜しなければならずとても大変でした。その後、原語のドイツ語でも何度も歌っていますが、この時の経験のお陰で、改めて日本語の対訳を読むまでもなく感情移入が楽に出来るのは確かです。
昨夜は久し振りに「マタイ受難曲」を聴いて、少しノスタルジックな気分になってしまいました。