今年はアーノルト・シェーンベルクの「グレの歌」1913年初演から丁度百年に当たる年。この曲はシェーンベルクの初期の集大成であり、後期ロマン派の終わりに位置する作品です。
シェーンベルクの作品はただでさえ難しい、聴き難いと敬遠されがちですが、この「グレの歌」は、弦楽合奏曲「浄められた夜」(1899年)や交響詩「ペレアスとメリザンド」(1902-03年)と並び聴き易い部類に属する作品の1つです。そしてこの「グレの歌」の後、彼の作風は無調音楽 → 十二音技法へと向かいます。
「グレの歌」の物語は、中世デンマークのヴァルデマール王とその愛人トーベとの悲恋を描いたデンマークの作家イェンス・ペーター・ヤコブセンの未完の小説「サボテンの花開く」の中の一節に基づいています。そしてその音楽は、マーラーの交響曲第8番と並ぶ5管編成という超巨大なオーケストラ編成となっておりその迫力に圧倒されます。
今回ここで挙げるのは、リッカルド・シャイー指揮、ベルリン放送交響楽団、ジークフリート・イェルザレム(ヴァルデマール王)、スーザン・ダン(トーヴェ)、ブリギッテ・ファスベンダー(山鳩)、ヘルマン・ベヒト(農夫)、ペーター・ハーゲ(道化師クラウス)、ハンス・ホッター(語り)、ベルリン聖ヘトヴィヒ大聖堂聖歌隊、デュッセルドルフ市楽友協会合唱団による1985年の録音。これはシャイーがベルリン放送響の首席指揮者に就任して3年目の録音で、当時の彼は弱冠32歳です! 躍動感溢れる生き生きとした演奏でとても聴き易いですね。また、音質がクリアでバランスも大変良いです。
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