ヴェルディ:歌劇「アイーダ」

ヴェルディ:歌劇「アイーダ」僕がまだ藝大の学生だった頃、自分で買った最初のレーザーディスク(LD)は、1981年ヴェローナ野外音楽祭に於ける「アイーダ」公演を収録したものでした。所有していたLDはこの「アイーダ」を含め全て渡欧前に処分してしまいましたが、この収録公演に前のエントリーでも触れたカルロ・ザルドが、ランフィス役で出演していたと言うのを知り、改めてDVDを入手しました。
初めてLDを見た時は、マリア・キアーラ、フィオレンツァ・コッソット、ニコラ・マルティヌッチ、ジュゼッペ・スカンドラといった、所謂、有名どころの歌唱に圧倒されました。それに加えて、指揮のアントン・グアダーニョの素晴らしさにとても感動したのを覚えています。
その後、コッソット、グアダーニョとは藤原歌劇団公演で共演した事がありますが、特に印象深く覚えているのは、グアダーニョが指揮をしたプッチーニの歌劇「マノン・レスコー」です。在京の某オーケストラが指揮者によってこんなにも奏でる音が違うのかと驚いたんです。
特にイタリア・オペラは、作品を生かすも殺すも全ては指揮者の腕一つに掛かっていますからね。

肝心の「アイーダ」のDVDの話に戻りますが、今改めて聴いてもやはり良いですね。プレリュードの最初の数小節を聴いただけで鳥肌が立ちました。まるで一音一音が生きているかの様に音楽が止まらず流れて行くんですよ。これは決してせかせかと先走るという意味ではなく、決められたテンポの中でちゃんと脈打っているという事です。
そして、ザルド扮するランフィスの第一声で第1幕が始まりまるわけですが、久し振りに彼の声を耳にして嬉しくなっちゃいました。実際に彼と「セビリアの理髪師」で共演したのはこの公演から11年後になるわけですが、この時の方がちょっと若く見えるぐらいで、殆ど声も変わっていない事に驚きます。なにしろバスは老け役が多い所為もあってか、実際の年齢が良く分からなかったりしますからね(笑)。

僕自身も「アイーダ」は合唱を何回も歌った事がありますが、一度だけ抜粋ですがラダメスを歌った事もあるんですよ(!)。でも、いずれの場合も演奏会形式なので、残念ながら演出付きの舞台では演った事がない作品の1つです。
渡伊の年の夏、1989年にヴェローナで実際に観た時(演出はジャンフランコ・デ・ボジオ、衣装・装置は1981年と同じくヴィットーリオ・ロッシ)は、やはり感動しましたよ。本当の意味でのスペクタクル!という感じでした(^^)

カテゴリー: 音楽 タグ: , パーマリンク