「モーツァルトとサリエリ」

「モーツァルトとサリエリ」今日のリヨン・オペラ座は、チャイコフスキーのオペラの公演はお休みで、プーシキンの同名詩劇を基に、ニコライ・リムスキー=コルサコフ自身が台本を書き作曲した、歌劇「モーツァルトとサリエリ」の公演があります。
リムスキー=コルサコフは、ロシア5人組(19世紀後半、ロシアで民族主義的な芸術音楽の創造を志向した作曲家集団)の1人で、管弦楽法の大家としても知られます。代表作、交響組曲「シェエラザード」を始め、序曲「ロシアの復活祭」、歌劇「サトコ」、歌劇「金鶏」等が有名です。
今回の「モーツァルトとサリエリ」は、1幕2場(上演時間約45分)からなり、アリア等はなくテノールのモーツァルトとバリトンのサリエリが対話するように殆どがレチタティーヴォで進行します。
全曲を通して古典派の様式を思わせる曲想が多用されている所為か、これが本当にリムスキー=コルサコフの曲なのか?という錯覚に陥ってしまいます。また、作品中には「ドン・ジョヴァンニ」のツェルリーナのアリアや、「レクイエム」第1曲目の冒頭部分等が引用されていますが、サリエリが渡したワイン(毒入り)を飲み干した後で出てくる「レクイエム」は、オーケストレーションがモーツァルトのそれとは異なる一種独特の響きをしているからなのか、僕は何か胸騒ぎの様なものを覚えます。

1898年の初演時サリエリ役を歌った、ロシアを代表する世界的なバス歌手、フョードル・シャリアピンは、「『ボリス・ゴドゥノフ』よりも遥かに難しい」と言ったとか言わなかったとか…。でも、スコアを見る限りでは、ボリスの方がよっぽど難しいと僕は思うんですけどね。

今夜はこの他、以下の曲が演奏されます。

  • モーツァルト:交響曲第26番 K184
  • チャイコフスキー:組曲第4番「モーツァルティアーナ」
カテゴリー: 仕事 タグ: パーマリンク