ランスへの旅

昨日は、フランス北部シャンパーニュ=アルデンヌ地方最大の都市ランスへ行って来ました。
リヨンからランスは、TGVを使うとパリ乗換えで片道2時間45分かかります。朝7時半にリヨンを出発して帰宅したのは22時過ぎでしたが、パリでは発着駅が違うので待ち合わせ時間を利用してちょっぴりパリでも遊んで来ました(^^)V

因みに、ロッシーニの歌劇に「ランスへの旅」という作品がありますが、このオペラのあらすじは、「1825年5月にランスの大聖堂で行われたシャルル10世聖別式の前日に、フランスの保養地プロムピエールにあるホテル『黄金の百合』に集まったヨーロッパ各国の名士達が、フランス王家の栄光を称える」という内容です。

ランス大聖堂正面ランスにはフランク王国の国王クロヴィスが同市にあるサン・レミ教会で洗礼を受け大聖堂で戴冠式を行って以来、歴代フランス王が戴冠式を行ったという歴史があります。隣接するトー宮殿、サン・レミ教会と共に1991年にユネスコ世界遺産に登録されたランス大聖堂は、シャルトル大聖堂やアミアン大聖堂と並び、フランス国内におけるゴシック様式の傑作の一つと称されています(クリック拡大)。
また、1959年10月に藤田氏が君代夫人と共にカトリックに改宗し洗礼を受けた際、洗礼親だったのは当時シャンパンメーカーMumm社の社長であったルネ・ラルー氏だったそうです。

ランス大聖堂中央扉口左「微笑みの天使」として広く知られる彫像は左扉口左にありますが、現在は修復中で残念ながら見ることが出来ませんでしたが、中央扉口左(写真)には、「受胎告知」(向かって左側2体)と「マリアのエリザベト訪問」の彫像があります。写真に向かって左端にあるのが大天使ガブリエルの彫像ですが、よく見るとこの彫像も微笑んでいるようです(クリック拡大)。

シャガール作のステンドグラス第一次世界大戦の爆撃を受けて彫像やステンドガラスの半数以上を失った大聖堂は、その後に行われた大修復工事の末、1974年にはシャガール作のステンドグラスが正面一番奥に配されました(クリック拡大)。

フジタ礼拝堂今回の旅行の最大の目的であったフジタ礼拝堂。堂内は写真撮影禁止なので、撮ったのは藤田氏自身が設計と全ての装飾を手掛けたネオロマネスク様式の外観だけですが(クリック拡大)、内部には藤田氏が80歳の時に癌に蝕まれながらたったの3ヶ月で描き上げたフレスコ画、彼自身がデザインしたステンドグラスがあり、その偉業は正に奇跡としか言いようがありません。
礼拝堂に入って、正面にある「平和の聖母」の中には君代夫人、入り口上の「キリスト磔刑図」の中には跪くルネ・ラルー氏と藤田氏の自画像がちゃっかりと描かれています。また藤田氏の視点で描かれた「旧約聖書」の「天地創造」や「アダムとイヴ」、「ノアの箱船」や、戦争の悲惨さを表した広島がテーマのステンドグラスから騙し絵に至るまで、約1時間に亘って受付のおじさんが1つ1つ丁寧に説明をしてくれました。感謝!
現在、藤田氏は昨年亡くなった君代夫人と共に、自身の洗礼名でありフランス名でもある“レオナール”の本となった、レオナルド・ダ・ヴィンチへのオマージュとして描かれた『最後の晩餐』の絵の下に眠っています。

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