投薬治療で様子を見る

娘の手紙先週金曜日に突然僕を襲ったのは、右耳の難聴でした。暫くすると痛みも治まり聴力も幾分回復したので、主治医の指示に従ったのです。ところが案の定、20日の朝3時15分頃、もう一度激しい痛みが襲ってきました。今度はその痛みの所為か左耳の方にまで耳鳴りを感じ、それが1時間近くも続いたのです。
とてもじゃないけど我慢出来るような痛みではなかったので、ついに救急車を呼ぶ事にしました。僕は電話対応など絶対に無理な状況だったので、代わりに電話をしてくれたのは妻です。ところが受付の人は寝ぼけていたのか全く埒が明きません。ろれつが回っていないのか、先方が何を言いたいのか妻は殆ど聞き取れなかったそうです。そして、最後に住所と名前等を告げると、「そのんま…切らねーで…お待ちくれせぇ」という様に言うと、事もあろうに向こうがガチャっと切ってしまったんです。これには驚きました。一瞬何が起こったのか事態がすぐに飲み込めませんでした。気を取り直してもう一度電話を掛けると今度は別の人が出て、先ずさっきの対応内容は一切記録されていない事が判明(やっぱり寝ぼけてたのか!)。もう一度最初から説明したのですが、「心臓発作や事故でもない限り、その程度の症状では救急車は出せないから、取り敢えず夜間医師に往診してもらったら?」と、そのまま夜間医師に電話が転送されてしまいました。呆然。
今度は夜間医師にまた一から同じ事を説明。そしたら、「残念だけれど私にはとてもじゃないが手におえるような症状ではない。むしろこういう症状の時こそ設備の整っている救急でなければ対処出来ない筈。万が一、脳に異常をきたしてこの様な症状が出ているとしたら一刻を争う問題だ」と言われました。夜間医師がこう言うはもっともな事。だからこっちも救急車を呼ぼうとしたわけだし…。
救急車は諦めて他の手段を考える事にしましたが、夜間タクシーもつかまらず、まだ市内交通網も動いている時間じゃなかったので、結局、歩いて病院へ向かう事にしました。外の冷たい空気に触れいたのと歩いている間の振動、妻と喋っていたお陰でしょうか、不思議な事にあまり痛みは感じずに済みました。

救急外来受付に到着したのは5時15分。自宅を出てから50分程経ってからでした。僕は眩暈がして今にも倒れそうだったので、そのまま近くにあったストレッチャーに座りこんでしまいましたが、ここに至るまでの経緯、今現在の症状を説明し、主治医から専門医に宛てて書かれた手紙(これも処方箋?)を見せる等した後、保険証や共済保険の証明書などを提出し受付を済ませると、すぐに治療室へ運ばれました。この時、5時25分。
朝にならないと他の医師達も来ないので、取り敢えずベッドに横になり鎮痛薬と眩暈を和らげる為の点滴を受けて待つ事に。その間、血圧や心拍数を測ったり、検査のため血も抜かれました。それからの数時間、時折ウトウトと寝入っている妻を横に見ながら、痛みで眠る事も出来ず朝が来るのがどんなに待ち遠しかった事か分かりません。

8時になると朝番の看護師達が出勤して来たので、少し賑やかになりました。その内の1人が「血液検査をしなきゃいけないんですけど、この採血は古過ぎて使えないので、申し訳ありませんがもう一度採り直しますね」と言いました。つまり数時間前に採った血は、そのまま放置されていたと言うわけです。ガ~ン!しかも、この看護師さん、採血があまり上手じゃなかった様で、後で見たら左腕はまるでヤバイ薬でもやってるみたいに針の痕が幾つもあって、どす黒くなってしまいました。因みにこの看護師さん、後で心電図を取りに来た時、一緒にいた同僚に「昨夜、飲み過ぎちゃったかな…」と漏らしていました…orz
また、もう1人別の看護師さんが「大したものはないですけど何か食べたいですか?」と訊きに来ました。この頃には血圧も大分落ち着いてきていたし、小腹も空いていたので快く頂く事にしました。勿論、これも後で請求される事は承知の上でしたけどね。そして暫くすると、「お飲み物はコーヒーにしますか紅茶にしますか?」ともう一度訊きに来たので、思わず笑ってしまいました。

9時を回ると、入れ替わり立ち代り色んな科の医師が診にやって来ました。しかし、血液検査、心電図、リンパ腺に腫れが認められた為に受けた頸部エコグラフィー等々の結果も異常は認められず、全ては耳鼻科の医師の手に委ねられる事になりました。ところが、肝心の耳鼻科の医師は何時頃に来れるか分かりません。家に残して来た娘の事も心配だったので妻には先に帰るように促しました。

それからまた数時間が経ち、もう少しで点滴液が終わろうとしていた時、朝一番最初に診察に来た救急医がまたやって来て、「朝から何度も(耳鼻科に)電話ををしているんだけど、秘書の話では今日は担当医が1人しかいない上に予約が一杯で来れないから、もし具合が良くなったなら一旦帰っても良いよ。検査の結果どこにも異常は見られないし、どうせ後1日もすれば予約通りに診察も受けられるんだからね」と言われました。唖然。
結局、点滴が終わった12時20分頃、そのまま帰宅する事にしましたが、帰る道すがら、「救急医療って一体何なんだろう」という問いが頭から離れませんでした。

帰宅後、また暫く横になって休みました。何しろ月曜とこの日で結構な量の血を抜かれたので、気分は余り良くありませんでしたからね。夕方、主治医に電話をしてこれまでの経緯を説明したところ、結局は耳鼻科の医師の診断を待つしか他に手の打ちようがなく、点滴のお陰で容態も安定していたので翌21日に予定通り職場復帰する事になりました。

写真は、20日僕が妻に付き添われて病院へ行った後に娘が書いたものです。この日、娘は午前中にクラブ活動の為に学校へ行かなければならなかったのですが、朝食に食べた物、昼食に自分でサンドウィッチを作った事、マーシャに朝御飯をあげた事、洋服は何を着たか等々が書かれていました。結局、この日も当局からの要請でリヨン中心部には公共交通機関は乗り入れないと言う旨のお達しが朝から発令されたので、娘は学校へ行くことが出来なかったのです。
娘は明け方に起こされてから、心配からまた寝付く事が出来ず結局そのまま起きていたとかで、その日の夜は早くにベッドに入りました。

そして昨日は、やっと耳鼻科の医師の診察を受ける事が出来ました。「救命病棟24時~第4シリーズ」の麻酔科医・花輪先生(板尾創路)に良く似た先生が開口一番、「この間救急に来たのに帰っちゃった人でしょ?午後3時頃に行ったのに。向こうには自分が行けるまでちゃんと待機させておくように言っといたのに…」と仰いました。愕然。そんな風には説明を受けなかったし、もしそうだったら決してあの状況で帰ったりはしなかったのに…。
その後、様々な検査を受けた後、右耳の聴力を完全に失うまでは至っていなかったものの、一部の高周波が聞こえなくなっているという事が判明しました。それに加えて、耳鳴りがずっと続いているので内耳の奥の方に何かダメージがあるかもしれないというので、後日、頭部MRI検査も受ける事になりました。また、今飲んでいる薬だけでは不十分だという事でもっと強い薬も処方されました。この新しく処方された薬でちょっと困った事も起こったんですけど、それについてはまた改めて書きます。
次の診察は投薬の終わる約1ヵ月後。それまでに少なくとも耳鳴りが治まる事を願いたいです。

ご心配頂いた皆様、長文お付き合いして頂き有難うございました。

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4 Responses to 投薬治療で様子を見る

  1. ゆみの のコメント:

    ひでさん その後お具合 いかがでしょうか? 心配だけど・・耳の症状の多くは意外にストレスにも反応しやすい・・と聞いた事があるので心配し過ぎず 早く回復されるのを祈っています。お仕事にも関係するし なんと言っても人間は視覚聴覚から情報取得している事が大多数だし 第一、痛みが伴うのは困りますね。
    私は数年前に「突発性難聴」になり今でも調子が悪くなるときがありますが怖いですよね。・・・にしても。病院の対応、酷くてビックリΣ(@o@)ノノ

  2. ひで のコメント:

    ゆみのさん、こんにちは。
    ご心配頂き有難うございます。一時はどうなる事かと危惧しましたが、耳鳴りはまだ消えないものの一応症状は安定しています。あとは、新しく処方された薬の効能に期待したいと思います。
    > 私は数年前に「突発性難聴」になり今でも調子が悪くなるときがありますが怖いですよね。
    ゆみのさんもお仲間でしたか。僕の場合もその症状から突発性難聴の可能性が高いようで、新しく処方された薬の1つもステロイド薬です。
    > 病院の対応、酷くてビックリΣ(@o@)ノノ
    ホントです。でもここがまだ私立だからマシな方で、これが公立ともなると、しょっちゅう医者や看護師がストをしたりするのでお話になりません。

  3. facet のコメント:

    うわー、大変なことになっていますね。
    フランスのシステムは救急的な何かに全く向いていないと常々思っていましたが……。
    快方に向かうことを祈っています。
    とりあえず、代役の方は無事こなせたようで何よりでした。
    というか、代役をやっている場合ではないような気が。
    ご自愛ください。。。

  4. ひで のコメント:

    facetさん、こんばんは。
    ご心配頂き有難うございます。
    > フランスのシステムは救急的な何かに全く向いていないと常々思っていましたが……。
    今回が初めての経験ではないのですが、改めて驚かされました!
    > というか、代役をやっている場合ではないような気が。
    仰る事はご尤もな事だと重々承知しております。我ながら無茶な事をしたと深く反省しておりますので、どうぞご勘弁を…。これも歌い手の悲しいサガなのです(^^;
    > ご自愛ください。。。
    有難うございますm(_ _)m

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